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【アウトソーシングほっとニュース】職業紹介事業等の「お祝い金・転職勧奨」禁止、規制強化へ

 厚生労働省は9月17日、労働政策審議会労働力需給制度部会を開催し、職安法施行規則の改正省令案要綱、職業紹介事業者等の指針の改正案を諮問しました。主なポイントは、「お祝い金・転職勧奨」禁止の実効性確保と、雇用仲介事業のさらなる見える化の促進です。

「お祝い金・転職勧奨」禁止の実効性確保

 お祝い金・転職勧奨の禁止は、職業紹介事業者については現指針で定められていますが、求人情報誌等の募集情報等提供事業者についても禁止します(施行:令和7年4⽉1⽇)。
 また、お祝い金・転職勧奨禁止の実効性確保のため、以下の通り職業紹介事業の許可条件に加えることとし、指導監督を受けても違反継続の場合、許可取消の対象となります(施行:令和7年1⽉1⽇予定)。
・その紹介により就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る。)に対し、当該就職した⽇から2年間、転職の勧奨を⾏ってはならないこと。
・求職の申込みの勧奨については、お祝い⾦その他これに類する名⽬で社会通念上相当と認められる程度を超えて求職者に⾦銭等を提供することによって⾏ってはならないこと。

雇用仲介事業のさらなる見える化の促進

 雇用仲介事業の見える化については、有料職業紹介事業者の手数料の事項に常用就職1件当たりの平均手数料率を追加し(改正省令案)、職業紹介事業者、募集情報等提供事業者の利用料金・違約金規約の明示化(改正指針案)など、違約金トラブルへの対応を規定します。

「入社お祝い金」の禁止とは

 職業安定法に基づく指針が改正され、職業紹介事業者による「入社お祝い金」は、令和3年4月1日以降、禁止されています。
 この改正の目的は求人市場の健全化であり、 厚生労働省のリーフレットには「求職の申し込みの勧奨は、金銭の提供ではなく、職業紹介事業の質を向上させ、それをPRすることで行ってください。」と表されています。

企業が「入社お祝い金」を払うことは?

 前述の通り、職業紹介事業者と募集情報等提供事業者が入社お祝い金を支払うことは禁止となりましたが、それ以外の事業者については規制の対象外です。
 企業が内定者と雇用契約を結ぶに当たり、入社支度金入社一時金サインオンボーナスサイニングボーナスといった名称で一時金を支給するケースがあります。このような「入社お祝い金」は、法律に定められた義務ではないので、企業の自由な設計に任されており、求人応募を増やし、優秀な人材を確保するなど、採用競争を勝ち抜くためにメリットがあると言えます。

支払った「入社お祝い金」を返還させることができるか?

 しかし、「入社お祝い金」を受け取った従業員が入社後一定期間に退職した場合に、返還を求めることについては、企業側の返還請求が否定された裁判例がありますので、注意が必要です。

●日本ポラロイド(サイニングボーナス等)事件(東京地判平15・3・31) 

 この事件は、ヘッドハンティング会社を通じて採用する上級社員に支給した入社時の一時金(サイニングボーナス)について、1年以内の自発的退職に対する返還約定をもとに、200万円全額の返還を求めましたが、同約定は労基法5条(強制労働の禁止)、同16条(賠償予定の禁止)に反し無効として棄却されたものです。
 裁判所は、「労働者に労務提供に先行して経済的給付を与え、一定期間労働しない場合は当該給付を返還する等の約定を締結し、一定期間の労働関係の下に拘束するという、いわゆる経済的足止め策も、その経済的給付の性質、態様、当該給付の返還を定める約定の内容に照らし、それが当該労働者の意思に反して労働を強制することになるような不当な拘束手段であるといえるとき」は、労働基準法16条に反すると述べています。

 内定辞退や短期間での退職を理由に「入社お祝い金」の全額返還をも求めることは、労基法5条、116条の趣旨に反し無効となる可能性が高いと言えますので、制度設計の際には、社会保険労務士などの専門家にご相談されることをおすすめします。



 

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