【アウトソーシングほっとニュース】10月は「個別労働紛争処理制度」周知月間です
中央労働委員会と都道府県労働委員会は、毎年10月を「個別労働紛争処理制度」周知月間としています。近年、企業組織の再編、雇用形態の多様化、人事労務管理の個別化、労働組合組織率の低下等に伴い、個々の労働者と事業主との間で、労働条件や職場環境等をめぐるトラブル(個別労働紛争)が増加しています。周知月間は、これらの紛争の未然防止及び実情に即した迅速かつ適正な解決に向けて、個別労働紛争処理制度の利用拡大を図るため、種々の周知・広報活動等を全国的に実施するものです。
個別労働紛争処理制度とは
個別労働紛争処理制度とは、個々の労働者と事業主の間に発生した労働条件や職場環境等のトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度です。
日本では、長期的には集団的労使紛争が減少し、1990年代以降、個別労働紛争が増加する傾向が続いています。そのため、個別労働紛争に対応する制度の必要性が認識され、2000年代初め頃から、次のような多様な制度が展開されてきました。
①都道府県労働委員会による「あっせん」
②都道府県労働局の「総合労働相談」
③都道府県労働局長による「助言・指導」
④都道府県労働局紛争調整委員会による「あっせん」
⑤地方裁判所による「労働審判」
⑥民間型ADR(裁判外紛争解決手続)
このうち、②~④における令和5年度の施行状況は次の通りです。
社会保険労務士の紛争解決手続き代理業務
個別労働紛争が発生したとき、まず思い浮かぶのは裁判(民事訴訟)ですが、裁判で争うのはお金も時間もかかります。また、裁判の内容は一般に公開されるため、事業主(会社)と労働者が互いに名誉や心を傷つけあう結果にもなりかねません。
労働関係のトラブルを解決したいが、裁判にはしたくないという場合には、「ADR(裁判外紛争解決手続)」の利用を考えてはいかがでしょうか。ADRとは、民事上のトラブルについて、裁判によらないで、当事者双方の話し合いに基づき、あっせんや調停、あるいは仲裁などの手続きによって、紛争の解決を図る制度です。
このADR代理業務は、特定社会保険労務士が行うことのできる業務です。特定社会保険労務士は、トラブルの当事者の言い分を聴くなどしながら、労務管理の専門家である知見を活かして、個別労働紛争を簡易、迅速、低廉に解決します。なお、特定社会保険労務士になるためには、厚生労働大臣が定める研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格した後、社会保険労務士名簿に付記しなければなりません。
社労士会労働紛争解決センター
全国47都道府県にある社会保険労務士会では、職場のトラブルを話し合いで解決するための機関として、社労士会労働紛争解決センターを設置しています。特定社会保険労務士が、解雇や賃金の問題など職場のトラブルについて当事者双方の言い分を交互に聴きながら、適切な和解案を提案し、話し合いによって円満解決を図る民間の機関です。
職場のトラブルを相談したい
社会保険労務士は、企業における採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題に応じるほか、解雇・退職・未払い残業代などの職場のトラブルに関するお悩みを解決するエキスパートです。
社会保険労務士法人エスネットワークスでは、給与計算・社会保険手続き、就業規則等の改訂をはじめ、メンタルヘルスやハラスメントを始めとする労務リスクの大きい問題に関するご相談にも対応しています。詳しいサービス内容についてはサービス一覧からご確認いただき、お気軽にお問い合わせください。