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【アウトソーシングほっとニュース】「就活セクハラ」の防止義務化へ

厚生労働省は、就職活動中の学生に対する人事担当者らによるセクハラの防止対策を企業に求める検討に入りました。法律を改正し、学生と社員が面談する際のルールの策定や相談窓口の設置を義務化し、被害の拡大や深刻化を阻止します。
 学生が被害者となる就活セクハラについては、厚労省が、指針で「事業主は必要な注意を払うよう努めることが望ましい」と定めていますが、法律上の防止義務ではありません。しかし、就活セクハラの被害を経験した学生が3割に上るとの調査結果もあり、立場の弱い学生の保護を強化する必要があると判断しました。
 学生は企業が雇用する労働者ではないため、就活セクハラの防止は職場での雇用管理の延長と位置付ける方針です。今後、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論を進め、来年の通常国会で関連法改正案の提出を目指すとしています。

就活セクハラの実態

 今年5月に公表された令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」(厚生労働省)では、就活セクハラについても調査しており、2020~2022年度卒業で就職活動(転職を除く)またはインターンシップを経験した人で、インターンシップ中に就活セクハラを一度以上受けたと回答した人の割合は30.1%、インターンシップ以外の就職活動中に受けた人の割合は31.9%でした。 
 男女別でみると、インターンシップ中にセクハラを経験したと回答した割合は男性の方が女性より高く(それぞれ 32.4%、27.5%)、また、インターンシップ以外の就職活動中のセクハラについても男性の方が女性より経験した割合が高く(それぞれ 34.3%、28.8%)なっています。

 インターンシップ中に受けた就活セクハラの内容としては、「性的な冗談やからかい」(38.2%)が最も多く、次いで「食事やデートへの執拗な誘い」(35.1%)、「不必要な身体への接触」(27.2%)の順となっています。インターンシップ中の就活セクハラ(内容)



  近年、インターンシップを重視している企業が増えており、参加者の増加や期間の長期化といった傾向があるなかで、従業員と学生が接点を持つ機会が増えていることから、就活セクハラ防止の取り組みを進めることは重要と言えます。

 また、インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを受けた場面としては「リクルーターと会ったとき」(32.8%)の割合が最も多く、セクハラの行為者は「大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員」(38.3%)、「学校・研究室等へ訪問した従業員、リクルーター」(37.0%)の順に多くなっています。インターンシップ以外の就活セクハラ(行為者)










就活セクハラ防止対策の企業事例

 就活セクハラは、企業にとって、就活セクハラを起こした会社として社会的信⽤を失い、職場でもハラスメントが横行している会社だと学生に認識され応募が減少する可能性があります。また、従業員にも働く意欲やモラルの低下など悪影響が及び、貴重な人材の退職・流失を招くリスクが生じる重大な問題です。
 そこで、厚生労働省は、就職活動中やインターンシップ参加の学生に対するハラスメントの防止対策に取り組んでいる企業の事例集を作成し、公表しています。就活セクハラについては、これから対策を始めようと考えている企業やより踏み込んだ対策を講じようと考えている企業が多いと思いますので、今後の参考となるよう、好事例企業10社の先進的な取り組みに共通する3つのポイントをご紹介いたします。
①「公正な採用選考」に基づいた面接実施
  厚生労働省では、企業に対して、就職の機会均等を確保するため、応募者の基本的人権を尊重した公正な採⽤選考の実施をお願いしており、採⽤選考に当たって「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」の2点を基本的な考え方として実施することを求めています(公正採⽤選考特設サイト)。公正な採⽤選考の基本に沿って面接等を行うことは、就活セクハラ防 止のうえでまず押さえるべき基本と言えます。
②リクルーターの行動指針やマニュアル策定
 就活セクハラは、若手の社員がリクルーターとして活躍するOB・OG訪問や面談時に起こりやすいことがわかっています。そこで、リクルーターの行動指針やマニュアル、ガイドブックを策定し研修などで周知することが効果的です。
③応募者の個人情報の限定利用
 そもそも就活セクハラが発生しない状況をつくるために、選考に多少の不便さがあっても、未然防止策として応募者の個人情報保護や接触機会の減少に取り組むことも重要です。 

まとめ

 就活セクハラは決して許されない行為であることはもちろん、明るみに出れば企業も大きなダメージを受けることになります。学生の安全と自社の将来を守るためにも、以下を参考にされ、就活セクハラの防止対策に取り組んでいきましょう。
●全従業員に対し、就活セクハラを含むすべてのハラスメントを禁止する方針を明確にする。
●就活セクハラを行った場合には、その行為者を処分する懲戒規定等を設け、周知する。
●全従業員に対し、就活セクハラを含むハラスメント防止に関する研修を継続的に実施する。
●学生と接する際、採用担当者は可能な限り2名以上とし、オンラインも含め面談やオリエンテーションの際は複数名で対応するなど、採用活動におけるルールを明確にする。
就活学生向けにハラスメント相談窓口を設置し、周知する。

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。












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