【アウトソーシングほっとニュース】11月は「テレワーク月間」です
テレワーク月間実行委員会(内閣官房内閣人事局、内閣府地方創生推進室、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省、一般社団法人日本テレワーク協会、日本テレワーク学会)では、11月を「テレワーク月間」として、テレワークの普及促進に向けた取組を集中的に行っています。
また、11月25日には、テレワーク月間を締めくくる『働く、を変える』テレワークイベントが開催され、企業・団体・自治体におけるテレワークの優れた取組に対する表彰式のほか、講評、受賞団体による取組事例発表が行われます。開催概要は以下の通りです。
●日時:令和6年11月25日(月)13:00~16:30
13:00 – 14:00 第一部 表彰式
14:15 – 16:30 第二部 受賞企業による取組発表等
●開催方法:現地開催及びオンライン配信(Zoomウェビナー)
●開催会場:御茶ノ水ソラシティ2Fホール(東京都千代田区神田駿河台4-6)
●参加費:無料
●申し込み:応募フォームにアクセスし、必要事項等をご記入の上、ご応募ください。
テレワークの実施状況
パーソル総合研究所さんが、新型コロナウイルスが感染拡大した2020年3月より継続的に数万人規模のテレワーク実施状況を調査されています。
8月30日に公表された「第九回・テレワークに関する定量調査」結果の概要は次の通りです。
●テレワークの実施状況
2024年7月時点でのテレワークの実施率は正規雇用社員において22.6%で、2023年同時期の22.2%から微増(0.4ポイント)となりました。2年ぶりにダウントレンドが止まり、テレワークが定着する傾向を見せています。企業規模別にテレワークの実施率を見ると、従業員10,000人以上の大手企業において38.2%で、2023年同時期の35.4%から2.8ポイントの増加となり、2022年から2年ぶりに上昇しました。
●テレワーカーの就業意識
テレワーク実施者に「今後のテレワーク継続の希望」を聴いたところ、継続希望の意向は80.9%で、ここ数年高止まりの状態が続いています。
企業規模別にテレワーク継続の希望意向を見ると、従業員10,000人以上の大手企業におけるテレワーク実施者ほど継続希望率は高く、85.5%となっています。また、職種別にテレワーク継続の希望意向を見ると、「顧客サービス・サポート」「商品開発・研究」「IT系技術職」「その他専門職」といったスキルの希少性の高い職種において、継続希望率が高い傾向となっています。
●分析コメント~人材不足が牽引する大手企業のテレワーク~
テレワークの回復を手伝ったのは、単純にヘッドカウントが足りないという「人手不足」ではなく、大手企業におけるスキルの希少性の高い戦略的職種における「人材不足」である可能性が高いといえます。これらの職種ではテレワーク継続意向が非常に高くなっており、採用面の考慮としてテレワークを定着・増加させた企業が増えたことがうかがわれます。
一方で、規模の小さい企業のテレワーク率は横ばいであり、今後、企業間・職種間のテレワーク格差が広がる気配があります。
人材不足対策に挑む手段としてのテレワーク
さて、2020年以降、新型コロナウイルスの感染防止という目的のもと、多くの企業がテレワークを実施したことは記憶に新しいところです。しかし、感染リスクが低くなった今では、テレワークをやめて出社に戻る企業が多くなっています。一方で、テレワークの本来の目的を再認識し、メリットや必要性を感じた企業では、生産性を高め、優秀な人材を確保することに成功しています。
テレワークを続ける企業(出社とテレワークのハイブリッドを含む)と元通りの出社に戻る企業に分かれるなか、人材不足が深刻化する時代において、その解消手段としてのテレワーク導入が注目されています。小規模な企業でも、現場がある企業でも、テレワークを導入する事例が生まれています。
就活生や転職希望者のテレワークに対する意識や、テレワーク対応求人数と応募者数の推移など企業を取り巻く環境、また、テレワークの成功・失敗事例について、総務省が、コンパクトにまとめた動画を公開していますので、ぜひご視聴してみてください。
また、テレワークを導入している企業の事例は、厚生労働省・総務省が運営する「テレワーク総合ポータルサイト」でもご覧になれます。このサイトは、テレワークに関する各種情報が一元化されていますので、テレワークについて知りたい、セミナーやイベントに参加したい、テレワークに関して相談したいなど、有効にご活用いただけます。
改正育児・介護休業法~テレワークの努力義務化等~
ところで、2025年4月から段階的に施行される「改正育児・介護休業法」のポイントは、テレワークの導入が事業主に対する努力義務等として明確に規定されたことです。育児・介護休業法は、休業だけを定めた法律ではなく、働きたい人が働き続けることができるようにするための法律です。国は、育児や介護と仕事との両立を支援する施策の中心にテレワークの活用を据えたともいえるのではないでしょうか。
今回の改正により、企業はテレワーク環境を整備する責任が生じ、従業員が家庭と仕事の両立を図れるよう柔軟な働き方を提供する必要があります。育児・介護休業法の改正事項のうちテレワークに関する部分を取り上げましたので、ご参照ください。
①短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加(2025年4月1日施行)
短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合に、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置を講ずることとなります。この代替措置のメニュー(現行は、育児休業に関する制度に準ずる措置、始業時刻の変更等)にテレワークが追加されます。
②育児のためのテレワーク導入(2025年4月1日施行)
3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
③介護のためのテレワーク導入(2025年4月1日施行)
要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
④育児期の柔軟な働き方を実現するための措置(2025年10月1日施行)
事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下5つの選択して講ずべき措置の中から、2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。
・始業時刻等の変更
・テレワーク等(10日以上/月)
・保育施設の設置運営等
・就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇の付与(10日以上/年)
・短時間勤務制
なお、改正育児・介護休業法の全体像につきましては、【社エス通信】2024年11月号 知っておきたい「改正育児・介護休業法」のポイントをご覧ください。
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。