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【アウトソーシングほっとニュース】12月3日~9日は「障害者週間」です


障害者週間とは

 「障害者週間」は、12月3日(国際障害者デー)12月9日(障害者の日)の間の1週間で、障害者基本法第9条に次の通り定められています。

障害者基本法第9条
1.国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。
2.障害者週間は、12月3日から12月9日までの1週間とする。
3.国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。

 障害者週間では、国、地方公共団体、関係団体等において様々な意識啓発に係る取組が展開され、国が主催する主なイベントとして作品展やワークショップ、オンラインセミナーがあります。
 障害当事者、障害者のご家族、障害について気になっている方は、障害者週間に開催されるイベントにぜひご参加ください。




















障害者差別解消法の改正

 2021年に改正された障害者差別解消法が2024年4月1日に施行され、事業者には、障害のある人から申し出があった場合に「合理的配慮の提供」を行うことが義務づけられました
 これにより、すべての企業には、障害者に対する正しい理解と不自由のない社会参加のための配慮が求められています。合理的配慮の提供が義務づけられた今、障害者週間は、企業が合理的配慮を実践していくために障害に対する理解と共感を深める貴重な1週間として非常に重要性が高まっています。

障害者雇用のルール

 また、一定数以上の従業員を雇用する企業には、障害のある方を雇用しなければならないなど障害者雇用に関するルールがあり、「知らなかった」で済まされるものではありません。障害者週間の機会に、企業が押さえておくべき障害者雇用のルールについても理解しておきましょう。

①障害者雇用率制度
 従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります(障害者雇用促進法43条第1項)。民間企業の法定雇用率は2.5%です。従業員を40.0人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。雇用義務を履行しない事業主に対しては、ハローワークから行政指導が行われます。
 なお、法定雇用率は、以下の通り2026年度に2.7%に引き上げられます。

法定雇用率の引き上げ







②障害者雇用納付金制度
  障害者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要となるために、健常者の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことから、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として 「障害者雇用納付金制度」が設けられています。
●法定雇用率未達成企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金(不足1人当たり月額5万円)が徴収されます。
●この納付金を元にして、法定雇用率を達成している企業に対し、調整金※1(超過1人当たり月額2万7千円)や報奨金※2(超過1人当たり月額2万1千円)が支給されます。
●障害者を雇い入れる企業が、作業施設・設備の設置等について一時に多額の費用の負担を余儀なくされる場合に、その費用に対し助成金を支給します。
※1 常用労働者100人超の企業が対象
※2 常用労働者100人以下で障害者を4%または6人のいずれか多い数を超え雇用する企業が対象

③雇用の分野における障害者に対する合理的配慮の提供義務
 事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、募集・採用に当たり障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません。また、障害者である労働者と障害者でない労働者との均等待遇の確保や、障害者である労働者の能力発揮の支障となっている事情を改善するため、障害の特性に配慮した、施設整備、援助者の配置などの必要な措置を講じなければなりません。ただし、事業主に対して「過重な負担」を及ぼすこととなる場合は、この限りではありません(障害者雇用促進法第36条の2~36条の4)。
 合理的配慮は障害者一人ひとりの状態や職場の状況などに応じて求められるものが異なり、 多様かつ個別性が高いものです。したがって、具体的にどのような措置をとるかについては、障害者と事業主とでよく話し合った上で決めていくことが重要です。 合理的配慮は、個々の事情がある障害者と、事業主との相互理解の中で提供されるべきものであることにご留意ください。なお、合理的配慮の提供義務は、その措置を講ずることが事業主にとって「過重な負担」と なる場合は除かれます。過重な負担に当たるかどうかは、様々な要素(事業活動への影響の程度、実現困難度、費用・負担の程度、企業の規模、企業の財務状況、公的支援の有無など)を総合的に勘案しながら、個別に判断します。 


 






④障害者雇用に関する届出
障害者雇用状況報告
 従業員40.0人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告) をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項) 。
■解雇届
 障害者の再就職は一般の求職者と比べて困難であるとされているため、ハローワークでは、解雇される障害者に対して、早期再就職の実現に向けて的確かつ迅速な支援を行っています。このため、障害者を解雇しようとする事業主は、その旨を速やかにハローワークに届け出なければなりません(障害者雇用促進法81条第1項)。

⑤障害者雇用推進者の選任
 従業員40.0人以上の事業主は「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。障害者雇用状況報告の様式内に、障害者雇用推進者の役職・氏名を記入する欄があります。
 障害者雇用推進者は、障害者の雇用の促進及び継続を図るため、企業内の障害者雇用の取組体制の整備や、施設又は設備、その他の諸条件の整備を図る責任者をいいます。

法定雇用率未達成企業に対する指導

 実雇用率の低い民間企業には、「障害者雇入れ計画」の着実な実施による障害者雇用推進の行政指導が行われます。なお、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表することができるとされており、令和3年度は6社、令和4年度は5社、令和5年度は1社が、企業名を公表されています。
 法定雇用率未達成企業に対する指導の流れは以下の通りです。指導の流れ



 

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。


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