【アウトソーシングほっとニュース】労働安全衛生関係の一部の手続きが電子申請義務化
改正労働安全衛生規則等の施行により、2025年1月1日から、以下の手続について、労働基準監督署への報告は電子申請が義務化されました。
◼ 労働者死傷病報告(死亡及び休業4日以上/休業4日未満)
◼ 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
◼ 定期健康診断結果報告
◼ 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
◼ 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
◼ 有機溶剤等健康診断結果報告
◼ じん肺健康管理実施状況報告
◼ 事業の附属寄宿舎内での災害報告(死亡及び休業4日以上/休業4日未満)
なお、経過措置として、当面の間は電子申請が困難な場合は書面による報告が可能とされています。
電子申請の方法
電子申請は、e-Gov電子申請サイト、または厚生労働省ポータルサイト「労働安全衛生関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」から行うことができます。
労働者死傷病報告の改正
また、災害発生状況をより的確に把握すること等を目的として、労働者死傷病報告の報告事項が一部改正されています。改正項目は、以下の5点です。
①事業の種類
日本標準産業分類に基づいた細分類コード(4桁)又は大分類から細分類までの業種を選択すると、細分類コードが入力内容に反映されます。
②被災者の職種
日本標準職業分類に基づいた小分類コード(3桁)又は大分類から小分類までの職種を選択すると、小分類コードが入力内容に反映されます。
③傷病名及び傷病部位
傷病名及び傷病部位をプルダウン選択すると、対応するコードが入力内容に反映されます。
④災害発生状況及び原因
記載方法の問い合わせが多かった災害発生状況について、原因等の把握につなげやすくするため、5段構成の記入方法へ変更しました。
⑤国籍・地域及び在留資格
国籍・地域及び在留資格をプルダウン選択すると、対応するコードが入力内容に反映されます。
労働者死傷病報告は労災保険の休業補償給付を受けたときに提出するものという誤解をされている方がたまにいらっしゃいます。しかし、労働者死傷病報告は、労働災害が発生した際に提出すべきものであり、休業4日未満で労災保険の休業補償給付を受けない場合であっても、届け出る必要があります。
これは、労働者死傷病報告の目的が、労災事故を把握し、事故の防止に繋げるためです。届け出が必要な根拠は、労災保険法ではなく、労働安全衛生法および労働安全衛生規則第97条第1項・第2項に定められています。
【参考】改正労働安全衛生規則第97条(労働者死傷病報告)
事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒(以下「労働災害等 」という。) により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
一 労働保険番号(建設工事の作業に従事する請負人の労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合は元方事業者の労働保険番号)
二 事業の種類並びに事業場の名称、所在地及び電話番号
三 常時使用する労働者の数
四 建設工事の作業に従事する労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合は当該工事の名称
五 事業場の構内において作業に従事する請負人の労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合は当該事業場の名称
六 建設工事の作業に従事する請負人の労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合は元方事業者の事業場の名称
七 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合は、当該報告を行う事業者が当該派遣労働者に係る同条第四号に規定する派遣先又は同号に規定する派遣元事業主のいずれに該当するかの別並びに当該派遣先の事業場の名称及び郵便番号
八 労働災害等により死亡し、又は休業した労働者の氏名、生年月日及び年齢、性別、職種、当該職種における経験期間並びに傷病の名称及び部位
九 休業見込期間又は死亡日時
十 労働災害等により死亡し、又は休業した労働者が外国人(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)別表第一の一の表の外交又は公用の在留資格をもつて在留する者及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者を除く。)である場合はその国籍又は地域の名称及び在留資格の区分
十一 労働災害等の発生日時、発生場所の所在地、発生状況及びその略図並びに原因
2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、それぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、電子情報処理組織を使用して、 同項各号(第九号を除く。) に掲げる事項及び休業日数を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。