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【アウトソーシングほっとニュース】初めての「化学物質管理強調月間」を実施





厚生労働省中央労働災害防止協会は、2月1日から28日までの1か月間、初めての「化学物質管理強調月間」を実施します。令和6年度のスローガンは「正しく理解 正しく管理 化学物質と向き合おう」です。この機会に職場で取り扱う化学物質の有害性を認識した上で、化学物質の自律的管理を進めていきましょう。

化学物質管理強調月間の背景

 化学物質による休業4日以上の薬傷等の労働災害は、年間約450件程度で推移し、その8割が未規制の化学物質によるものとなっています。また、事業者が自社で取り扱う化学物質の危険性・有害性に基づき、適切に管理することを基軸とした新たな化学物質規制が、令和6年4月から施行されていますが、まだ十分に事業場に定着していないといわれています。
 「化学物質管理強調月間」は、こうした状況を背景に、職場における危険・有害な化学物質管理の重要性に関する意識の高揚を図るとともに、化学物質管理活動の定着を図ることを目的に、今年度より毎年2月に実施することとされました。

化学物質管理強調月間の趣旨

 国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼり、その中には、危険性や有害性が不明な物質が多く含まれる。また、化学物質による休業4日以上の労働災害(がん等の遅発性疾病を除く。)のうち、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)等の特別規則による規制の対象となっていない物質に起因するものが多数を占めている。

 これらを踏まえ、特別規則による規制の対象となっていない物質への対策の強化を主眼とし、国によるばく露の上限となる基準等の制定、危険性・有害性に関する情報の伝達の仕組みの整備・拡充を前提として、事業者が、危険性・有害性の情報に基づくリスクアセスメントの結果に基づき、国の定める基準等の範囲内で、ばく露防止のために講ずべき措置を適切に実施する制度を導入したところである。

 こうした規制の対象となる化学物質(リスクアセスメント対象物)は順次拡大され、令和8年4月から約2,900物質が規制対象となるが、これに伴い、対策を講ずべき事業場の範囲が、従来の製造業中心から第三次産業を含めた幅広い業種に大幅に拡大する。また、業種・規模に関わらず、リスクアセスメント対象物を製造、取扱い等を行う全ての事業場において、化学物質管理者を選任し、化学物質を管理させる必要があり、化学物質管理の知見が十分でない第三次産業の事業場や中小零細事業場に対しても、新たな化学物質規制を広く浸透させる取組が重要となる。

 また、国際的には、「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)―化学物質や廃棄物の有害な影響から解放された世界へ」(第5回国際化学物質管理会議採択)において、多様な分野(環境、経済、社会、保健、農業、労働等)における多様な主体(政府、政府間組織、市民社会、産業界、学術界等)によるライフサイクル(製造から製品への使用等を経て廃棄まで)を通じた化学物質管理が求められていることから、国内の化学物質管理において関係省庁が連携し相乗効果を高めていくことが必要である。

 このような背景を踏まえ、厚生労働省は、経済産業省、環境省等の関係行政機関、災害防止団体等安全衛生関係団体、労働団体や事業者団体等の幅広い協力を得て、令和6年度化学物質管理強調月間を、以下のスローガンの下で展開することにより、広く一般に職場における危険・有害な化学物質管理の重要性に関する意識の高揚を図るとともに、化学物質管理活動の定着を図ることとする。

実施事項

 事業者の実施事項は以下の通りです。
(ア)製造し、又は取り扱っている化学物質の把握及び、化学物質の安全デー タシート(以下「SDS」 という。)等による危険有害性等の確認
(イ)特定化学物質障害予防規則等の特別規則、石綿障害予防規則の遵守の徹底
(ウ)ラベル表示・安全データシート(SDS)交付、リスクアセスメントの実施等
 a 製造者・流通業者が化学物質を含む製剤等を出荷する際のラベル表示・安全データシート(SDS)  交付等の徹底及びユーザーが購入した際のラベル表示・SDS 交付等の状況の確認
 b SDS 等により把握した危険有害性に基づくリスクアセスメントの実施とその結果に基づくばく露濃度の低減や適切な保護具の使用等のリスク低減対策の実施
 c ラベル・SDS の内容やリスクアセスメントの結果に関する労働者に対する教育の実施
 d 危険有害性等が判明していない化学物質を安易に用いないこと、また、危険有害性等が不明であることは当該化学物質が安全又は無害であることを意味するものではないことを踏まえた取扱物質の選定、ばく露低減措置及び労働者に対する教育の推進
 e 皮膚接触や眼への飛散による薬傷等や皮膚からの吸収等を防ぐための適切な保護具の使用や、汚染時の洗浄を含む、化学物質の取扱上の注意事項の確認
 f 特殊健康診断等による健康管理の徹底
 g 塗料の剥離作業における健康障害防止対策の徹底
 h 金属アーク溶接等作業における健康障害防止対策の徹底
(エ)化学物質管理者の選任状況の確認
(オ)日常の化学物質管理の総点検 
(カ)事業者又は化学物質管理者による職場巡視 
(キ)スローガン等の掲示 
(ク) 有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
 (ケ)化学物質管理に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の 掲示、その他化学物質管理への意識高揚のための行事等の実施

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。



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